自閉症とは
自閉症

 自閉症とは、「先天性の脳機能障がい」によって他者とのコミュニケーションや、社会生活などに困難が生じる障がいです。一般的には発達障がいのひとつ「自閉症スペクトラム(健常〜軽度〜重度の境界がない広い概念)」の中で、重度に位置する従来型自閉症と呼ばれる症状を単に「自閉症」と呼ぶことも多いようです。

 過去、日本でも自閉症は親の過保護や虐待など、「育て方」に原因があると考えられたことがありましたが、今では一部の学者を除き、「先天性のもの」とする見方が多数です。

発達障がいについて

 発達障がいとは、「人が生きていくために必要な能力のうち、いくつかの発達が遅れるか、偏っているもの」と表現することができます。遅れている、または偏っている能力が原因で、生活に何らかの不都合が生じるために、「障がい」とよばれます。

 「障がい」という言葉には重い響きがありますが、本人や家族が困っている状態を「障がい」と受けとめ、本人や家族の困り感をいかに軽減していくかが一番重要なことです。

 発達障がいには、

  • ○自閉症スペクトラム(広汎性発達障がい)
  • ○注意欠陥多動性障がい
  • ○学習障がい

などがありますが、精神遅滞(知的障がい)を含める場合もあります。

 それぞれの障がいが重複していることもありますが、最初は注意欠陥多動性障がいと考えられていた子どもがその後、自閉的な特徴が次第に明らかになり、広汎性発達障がいと判断されるなど、診断名が変化することもあります。

 注意欠陥多動性障がいや学習障がいの子どもが就学前に診断されることは稀で、就学後に問題がはっきりしてくることがほとんどです。発達障がいの中核を成すものは自閉症スペクトラムであり、特徴がはっきりしている場合は、1歳台で診断されることもあります。

自閉症スペクトラム

 自閉症スペクトラムは、

  • ①社会性の障がい
     (対人関係が希薄で社会性の発達が不良)
  • ②コミュニケーションの障がい
     (相互意思伝達の手段の使用と理解の障がい)
  • ③想像力の障がい
     (想像力の障がい〜興味や活動が限られ、強いこだわりがあり、
      反復的な行動がみられる)

という特徴を3歳以前から認める場合に診断されます。

 知的発達が境界域以上の場合、高機能広汎性発達障がいまたは高機能自閉症と診断します。さらに、知的な発達や言葉の発達の遅れがなく、対人関係以外ではある程度適応能力をもっている場合にアスペルガー障がいと診断します。

 自閉症スペクトラム(自閉症の連続体)とは、健常者と軽度から重度の自閉症者の間にはっきりした壁のようなものはなく、虹のように境界があいまいで多様性や連続性が存在するという広い範囲を包含した考えです。
 アスペルガー障がいのような知的な遅れがない例から、重度の知的な遅れがある例まで、連続した一つのものという広い概念であり、発達障がいの子どもの家族に説明する際に理解を得やすい面があります。

保護者に対する支援

 保護者、特に母親に対して支援をいただく事は重要だと感じています。
 子どもの診断がつく前に、注意欠陥多動障がいの多動性や衝動性、広汎性発達障がいのパニック行動などに振り回されて、母親が疲れ切っている事がとても多いのです。
 子どもの診断を告げられて考え方や対応の仕方の話を聞くと、ほっとしたり、これまでの苦労を振り返って涙ぐんだりする事もあります。
 
 母親に責任を押し付けないという事も重要な支援の一つだと思います。周囲から「母親のしつけが悪い」、「甘やかしている」、「愛情の不足」、「心の問題」、「テレビを見せ過ぎたからこうなった」などと非難されて、落ち込んでいる場合もあります。
 発達障がいは生まれつきの脳機能のアンバランスによるものであり、育て方の問題ではないことを多くの方にご理解いただければと思います。
 
 発達障がいの子どもは、社会生活場面や学習場面での失敗経験や、特異な行動に対する周囲の否定的な評価や叱責のために、自信喪失や精神不安定になる傾向があります。この悪循環を断ち、「うまくできた経験」や「よく分かった経験」などの成功体験を積ませながら、自己評価を高めるような支援をいただくことが基本になります。
 家庭や園・学校などでは、子どもの行動に対していらいらせず、できるだけ叱らずに、ちょっとしたことでも上手にほめるというような対応が求められ、そのためにも保護者が子どもにじっくりと向き合える状態を保てるように、理解の輪を広げていただければと願っています。